発売日: 2007-08-21
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DISC情報
アーチスト
Friedrich Guldaユーザー・レビュー
音楽としてのベートーヴェン
私は音楽に音楽以上の意味を持たせることには基本的に興味がない。ベートーヴェンの音楽は彼の思想の表現手段たる傾向が後年ほど強くなるが、音楽そのものとしても十分素晴らしいところが天才の天才たる所以だ。
ベートーヴェンを音楽として楽しむには、このグルダは最高だ。
もったいぶった哲学的瞑想も、鯱張ったポーズもない。ただ純粋な音楽的アプローチで、初期から後期までのベートーヴェンと向き合い、多彩な魅力を十全に引き出している。ベートーヴェンのソナタってこんなにいい音楽だったのか。協奏曲はさらにダイナミックで素晴らしい。
音楽を超えたベートーヴェン像を求める向きにはなじまないだろうが、音楽としてベートーヴェンの魅力を存分に味わえる。いつ聴いても新鮮でスリリング。退屈しない全集だ。
グルダ演奏ベートーヴェン・ピアノソナタ全集+協奏曲全集
ピアノ協奏曲集(Klavierkonzerte 1-5)としか書かれていませんが、実際には12枚組に、ソナタ全集9枚と協奏曲全集3枚が収められていて、どちらかというとピアノソナタ全集が主です。
とてもお得なセットです。
ソナタの録音は1967年と新しくはないですが、バックハウス、ケンプなどに比べると音質はずっと良いです。
また技術的に衰えのある老大家と違い、30代の脂の乗りきっていた時期の演奏です。
ソナタ形式提示部の繰り返し指示は、原則全て守っています(バックハウスは省略)。
ソナタ23番「熱情」、24番「テレーゼ」はDecca盤1973年の録音も併録されていて、聴き比べることができます。
箱のデザインがイマイチで、解説はなく、曲目もドイツ語でしか書かれていないという大ざっぱさですが、内容はすばらしいです。
こちら が長いこと手に入らず、出るのを待っていたのですが、別な形で出ていたのですね。
もっと早く気がつけばよかったです。
全集を買うならこれ
ベートーヴェンのピアノソナタは全部で32曲もあるので、それを1人のピアニストの演奏だけで満足するのは無理でしょう。調べたことはありませんが、三大ソナタ(悲愴、月光、熱情)だけを入れたCDでも市場には100以上あるのではないでしょうか。ですから本来一つ一つの曲で気に入った演奏を選んでいくほうが良い道筋で、それがクラシック音楽を聴く楽しみの一つと思います。
ですがピアノを習っている人にとっては、ベートーヴェンのソナタの1番や5番あるいは25番などは練習曲目にも上がってくるのでピアニストの演奏を聞いてみたいと思うことはあるでしょうし、アマチュアでも月光ソナタの一楽章や悲愴ソナタの二楽章くらいなら、自分の演奏でもそれなりに楽しむことが出来ます。そんなときにはやはりソナタ全集が欲しくなるもので、そのなかではこのグルダの演奏がお勧めです。
概してテンポが速く、その一方で月光ソナタの一楽章や悲愴ソナタの二楽章などはバックハウスやケンプ、ブレンデルより緩く、それでいて情感にあふれ、それぞれの音符は比較的短く、ペダルは少なめで、初めて聴く曲でも(1〜7番や9〜13番は初めてという方が多いのではないでしょうか)とっつきやすいでしょう。特にこうした曲の緩徐楽章で、ベートーヴェンがいかに美しいメロディーをかいたかに気がつくのではないでしょうか。逆にテンペストの三楽章や後期のソナタは、走りすぎと感じる方も多いかもしれません。
まずここをスタートにベートーヴェンのピアノソナタの世界を巡ってみるのは悪くないと思います。協奏曲もソナタと同じスタイルで良い演奏です。